先日、こんな問い合わせがありました。
パートで有期契約で働いておられる方です。
「今年の4月から自分も無期契約になれるのですか?」
労働契約法が昨年改正されました。
大きな改正ポイントは3つです。
冒頭の質問は一番目の「無期転換ルール」に関したものです。
質問された方は、一年契約の有期契約をすでに7回更新してきています。
今年の4月1日に「無期転換ルール」ができるとすると、今まですでに5年以上有期契約で働いてきた自分にも、無期転換する権利が与えられるのかどうか、という事です。
答えですが、
残念ながら、無期転換権は今年の時点ではまだ生じません。
厚生労働省のパンフレットなどの説明によると、
「契約期間のカウントは、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象です。平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は通算契約期間に含めません」
となっています。
つまり、今年の4月1日以前の契約期間がいくらあろうと、それは今回の「無期転換ルール」に必要な「5年間」には一切入らない、ということです。
例えば、昨年7月から1年契約で働いていたとすると、今年の4月で9ヶ月の契約期間になりますが、その9ヶ月はカウントされるのかといえば、これも入りません。
あくまでも、今年の4月1日以降の日を契約初日とする契約からカウントされる、ということになっています。
有期契約で不安定な状況で働いておられる方にとって、無期転換の権利が得られる今回の改正は一歩前進かもしれませんが、5年先までおあずけ、というのは不満に感じられることでしょう。
ただ5年後には有期から無期に転換する人がかなり現れてくることが予想されるので、企業としても今のうちから社内規程の整備などに取り掛かっておくべきでしょう。
また、無期転換についてはちょっと先の話になりますが、
改正点の2番目では、雇い止め法理が法の中にきっちり組み込まれ、3番目にある通り、有期だからということでの不合理な労働条件の禁止が明文化されました。
現実に、行き過ぎた雇い止めの事案や、正社員とパートとの間のいわれなき差別的な待遇、などがまだまだ多いという現状の中では、今回の改正はそれなりに大きな力を持つものであるとも思います。
今回の法改正の趣旨は、あくまでも不安定なパート・有期契約の労働者の状況の改善であり、そうした趣旨を踏まえた対応というのが、雇うがわも雇われる側も大事だと思います。
<厚生労働省HPより>
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「労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~」
リーフレット(4p)「労働契約法改正のポイント」
パンフレット(24p)「労働契約法改正のあらまし」
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